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山頂に展開した王国の中心、最も高い所に鎮座するのが純白に輝く王宮だった。

大陸行路の終着地・中華の国よりやって来た夏候惇の目には、いくら美しかろうとここに暮らす人々はやはり文明が遅ていると
映らないわけではない。
それでも、その王宮の威容と精緻な美しさには圧倒された。

初めて王国を目に入れた地点からさらに二時間ほどを歩き、城壁の内側に入った夏候惇は町の様子を注意深く眺めた。
人々はみな色鮮やかな上着を羽織っている。
貧富の差はあるがその度合いが薄い。
仕事を失いあてもなくさまよう、または炉端で死んだように眠る浮浪者は見あたらない。
彼らは捕虜扱いで縄を打たれ連れて行かれる夏候惇を多くの目が驚いて見送る。
だがそれらは少々夏候惇らを眺めるとすぐに自分の仕事を思い出し戻っていく。
眺めながらでも仕事の手を休めない者も多い。
勤勉な印象を受ける。
この国の民はみな黒い人間である。
夏候惇たちにはそれがめずらしかったが、逆に彼らからすれば白い肌の捕虜たちの方がめずらしかっただろう。
好奇の目にさらされながら王城への最短距離を歩いた。


もはや、夏候惇には確信がある。
ここが、悲願の地であったと。
そして形はどうあれ国王に謁見が叶うのだ、と。


壮大な王宮の中、一際重い扉の前で、夏候惇は部下から引き離された。
部下達はその部屋に入れられないらしい。
重厚な音が響き扉が開く。
荒々しく頭を下向きに押さえ付けられたまま夏候惇は真っ直ぐ続く絨毯の上を進んだ。
30歩ほど進んだあたりで体を引かれ、膝を付かされた。
毛の長い絨毯のこと、痛みはなかったが乱暴なその扱いに多少腹が立たないでもない。

かさついた男の声が降ってきた。
夏候惇の知る慣例から言えば、皇帝は直接臣下に声をかけない。
内容はわからないが同じく膝を付き頭を垂れた夏候惇を連れてきた男達が声に答えていく。

二、三回やりとりがあった後、不意に枯れた声を遮って若い声が降った。

玉間に不釣り合いな高い音楽的な声。
それでいて女のような甘ったるさはなく、澄んで冷涼としていた。

まさに命の危機という時だというのにに予想外に聴く美しい声色に聴き惚れている自分に驚く。
その声が何事かを告げ、横にいた男が夏候惇の髪を掴み無理矢理に顔を上げさせた。
そして疲れ果てた夏候惇の目に映った玉座には。

黒く恐ろしき鬼を統べる皇帝の玉座。

そこには、この宮城よりも更に白く更に美しい男が座っていた。
















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