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「夏候惇将軍は随分と色男であるようだな。」

晩に張遼に呼び出され、開口一番そう言われた。
陶器のように白い顔が笑っている。
誇張して皮肉っているのはすぐに分かった。
もとより冗談などには縁遠い男である。
夏候惇はうんざりという表情も露わに勧められた椅子に腰掛ける。

「…冗談はおやめください。」

「何を言われる。
 北から来た客は乱暴で野蛮かと思ったら、将軍は紳士的で男前だと先ほど侍女達が噂していたぞ。」

夏候惇が露骨に顔をしかめたので張遼は更に笑った。

「本国でもそれは女性に人気があったことだろうな。」

「まさか。
 向こうでは私のような無骨者は女の気は引けませぬ。」

張遼はくつくつと笑い、それは気の毒だな、女性が。とこぼした。

夏候惇は言われたことに大して興味を持てず、笑う皇帝の顔を見ていた。
自分などより、皇帝の方が遥かに心惹かれる存在であると思う。

夕食は済ませたと言っていた。
既に日は沈み、夜風が涼しくなっていたが、張遼は相変わらず薄布を重ねただけのような衣装である。
直接な露出は低いが、透けて見える肌色がなまめかしい気がする。
白い白い肌だと思っていたが、真白い薄布と比べれば淡く赤い。
彼の首元で白い小さな貝がしゃらん、と涼しい音を立てた。
それは彼の笑い声と共鳴し、夏候惇を陶酔に誘う。

「…将軍?」

「…は。
 申し訳ありません。」

我に返り不躾に眺めた自分を恥じる。
一国の皇帝相手に、何を。

「私の服は何かめずらしかったかな?」

張遼はそのように思われたことなど気付いた風もなく、小首を傾げた。
なるべくそちらを見ないようにしながら、ゆっくりと瞬きをして幻影を追い払う。

「いえ、…お寒くはありませんか?」

「ああ、平気だ。
 私はどちらかと言えば寒さに強く暑いのが苦手でな。」

そちらの血が混ざっているせいだろうか、と笑う顔が僅かに変化したことに夏候惇は気付いた。
何かを懐かしむような、切望するような。
まさか、伝え聞く程度の国のことだろうに。
陛下、と呼びかけられ、ん、と目線を夏候惇に戻した時にはもう皇帝の顔に戻っていた。

「…陛下は、我が国に興味がおありですか?」

しゃらっ、と金の耳飾りが鳴った。






















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